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川鰭市郎先生をホストに、東京女子医大元教授の仁志田博司先生と公開対談をして頂きました。
まさに珠玉の文言が輝いています。

 

お二人の同意を得て、全文を掲載致します。

「母性、父性」について(2/4)

 

(川鰭先生)

いろんな危機管理の論理ってのはいろいろあるし、いろんな変遷を経ながら子供達を受け入れていくわけですよね。先生からご覧になってご両親の、特にお父様とお母様の違いっていうのを感じられますか。

 

(仁志田先生)

そうですね。母子関係っていう言葉はたくさん論文にもあるし、みなさんすぐわかるんですけれども。お父さんがどういう役目・・、先生の質問ですね。この数年ですね、かなり文献も出てきましたしちょっとその話になると全然別の方向にいくんで。あの僕も4人の子どもの父親なんですけれども。お父さんもですね、お母さんの母性があるように父性があることは間違いないです。(お母さんのお腹が)動いてるのを触ったり、聴診器で赤ちゃんの心臓の音を聞かせるところもありますしね。そうするとですね、様変わりするんですね。今までのなんかこう遠くにいたお父さんが、お母さんをおしのけて赤ちゃんに関わるようなお父さんがでてくるんですね。父親にもですねお母さんにも負けないくらいの父性があるってことがわかってきた、と。

 

(川鰭先生)

ま、なかなか男性というのはそういうことを表出するのをかっこわるいかなって思ってる、特に若いお父さんとかいらっしゃると思うんですけどね。先生のところはどういうことを話されていらっしゃいますか。

 

(仁志田先生)

言葉よりもですね、みなさんが専門のラマーズ法とかですね、それから出生の時に立ち合い分娩とかですね。お父さんが生まれる前から現場に入ってきたことが、言葉よりも実際、元々父性を持ってるわけですからその性を刺激することになったんじゃないですか。

 

(川鰭先生)

だいぶ今はお父さんが分娩に立ち合うというのが増えてきていて、我々のところも帝王切開も希望があればお父さんに立ち合ってもらってるんですよ。ただその、お父さんが立ち合ったりするときにそれと同じように、同じような意味合いで母子の早期接触、カンガルーケアということでちょっと誤解を招いた頃があったじゃないですか。なんか、最低30分で2時間くらいまでならばいいんじゃないかとか。そういう意見もあるようなんですけれども、先生としてはお考えはどうですか?。

 

(仁志田先生)

それもなんかだんだん大きな話題になってくんですけど、早期コンタクト、分娩・出生時にコンタクトするのと、未熟児がずっとひとつきもふたつきもコンタクトするのといろんな違った意味があって。カンガルーケアはですね。ある確率で必ず、全く事故とは関係なくて赤ちゃんが亡くなることがあるわけですね。乳幼児突然死症候群というですね。それがたまたまカンガルーケアをやってる時におこる。そうすると病院の中でおこると事故になっちゃうんですね。家庭でおこると事故にならないんですね。

 

(川鰭先生)

でも、お父さんとお母さんとが赤ちゃんと接するっていうことを時間の軸で物を考える必要性はないと思うんですよ。短いか長いかっていうことが問題なんじゃなくてその場が与えられるかどうかということこそが問題なのであって、だからお母さんと赤ちゃんとをなるべくはやく接触させてあげる、そのポリシーに反対する人はいないと思うんですよね。

ただそれがある一定の形を満たさなければいけないという話でいくとおかしな話になってきちゃうし。

で、今日はせっかく都竹さんから障がい児のお話がでたので、在宅というような形もふまえて障がい者ということと我々がどう向き合うかというお話が必要になってくるかとは思うんですけども、たとえば染色体の異常だとかいう子どもなんかがいたときに先生だったらどういう風にまず接していかれますか。

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